【ドローン法解説シリーズVol.9】事故が起きたら発注者責任は問われるの?

espionage-407392_1920ドローンを使ったプロジェクトを依頼しようと考えられている方の中には、事故のリスクを気にされている方も少なくはないのではないでしょうか。実際に、高度150mの高さからドローンが墜落し人や物に衝突した場合、何かしらの損害を免れることはできないでしょう。

参考記事:操縦時は要注意!ドローンが墜落する5つの原因とは??

http://droneagent.jp/times/archives/884/ 

 そしてこのような場合に問題になるのが、損害賠償です。事故の責任はドローンの操縦者や空撮会社に責任が集中すると思われている方も少なくはありません。しかし実際には、発注者にも責任が及ぶ場合があります。そこで本記事では、ドローン事故発生時の発注者責任と、このような責任を負うリスクを軽減するための空撮会社の選び方を記載していきます。

1.発注者の責任:例外的に責任を負う場合がある

民法716条により、原則として注文者は、請負人が第三者に加えた損害を賠償する必要はありません。しかし民法716条但書は以下のように規定しています。

民法716条但書:但注文又は指図に付き注文者に過失ありたるときは此限に在らず

つまり、請負人に対する注文や指図について発注者側に過失があった場合に発注者は請負人が第三者に加えた損害を賠償しなければならないのです。

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2.具体的に問題になる場合

発注者が

①ドローン空撮に関する専門的知見を有しており

②事故発生の危険性を予見できていたにもかかわらず案件を推し進めた

場合に問題になります。現在のところドローンに関連する発注者責任を認めた裁判例はありません。しかし、建設工事において発注者責任が認められた【仙台高裁昭和60年4月24日判決】において以下のような判決が出されていることから、危険性の予見可能性の有無が問題になると考えられます。

請負人に対し危険回避のために工事方法を限定し或いは工事に条件を付し、その他適宜の措置を講ずべきことを求める等の注意義務がある

引用:【仙台高裁昭和60年4月24日判決】

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3.実際に起こり得るケース

読者の方がより具体的なイメージを持つことができるように、問題になる可能性のあるケースを紹介していきます。

【例:住宅地での空撮】

住宅地にあるマンションを空撮しようと考えていたA社は、空撮会社B社に対してマンションの空撮を依頼した。しかし、現場においてA社は、当初計画されていた場所とは異なる地点からの空撮をB社に対して依頼し、B社はA社の要望に従いドローンを飛行させた。しかし上空でドローンとの通信が途絶えた結果墜落、墜落地点において歩行中のCに衝突、怪我を負わせてしまった。なお、A社がドローンを飛行させた場所は人口集中地区であった。

【考察】

一例として、上記のようなケースにおいても、無断で人口集中地区で飛行させてしまったB社だけでなく、A社が責任を問われる可能性があります。具体的には、人口集中地区でのドローンの飛行によって、ドローンの墜落によって危険性を与えることが予見できていたかが問題になります。そのうえで、A社の危険の予見可能性が立証された場合は、注文者責任が認められる場合もあると考えられます。

4.不必要な事故をおこさないために

そして予期せぬ損害賠償の責任を軽減するためには、安全な撮影か危険な撮影かの判断ができ、安全な技術を要する会社に依頼することが重要になります。なぜなら、ドローン空撮会社が増加する中で、安全管理体制や技量が会社によってバラつきがあるためです。そこで、これらを見極めるうえで、依頼をする際に安全体制や技量について、慎重な見極めが必要となります。

参考記事:[保存版]ドローン空撮を依頼する時の5つの見極めポイント

http://droneagent.jp/times/archives/504/

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近年では、毎月のようにドローンによる事故が発生し、話題となっています。しかし、事故による被害は安全管理次第で最小限に予防することができるものです。

安全管理が不安なドローン事業者が増加している今、万が一の責任を問われないためにも、空撮会社の選び方が重要になります。

参考記事:ドローンの墜落事故の安全性について考察してみた

http://droneagent.jp/times/archives/24/