【ドローン空撮のプロ講座】電波と周波帯をわかりやすく解説

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こんな感じの内容です!

無人航空機の送受信機で用いられる電波には、2.4GHz帯が主となっており、本年度には5.7GHz 帯も電波帯が解放を予定されています。これらは強力な電波ではないので、近くの周波数での電波の 存在により、影響をうける可能性が高いです。 本記事では、「電波の原理」と、主な2つ周波帯について解説していきます。

目次

はじめに

無人航空機の送受信機で用いられる電波には、2.4GHz帯が主となっており、本年度には5.7GHz、5.8GHz 帯も電波帯が解放を予定されています。これらは強力な電波ではないので、近くの周波数での電波の 存在により、影響をうける可能性が高いです。本記事では、「電波の原理」と、主にドローンでの使用が検討される2つ周波帯について解説していきます。なお本記事の対象読者は、「本当に安全なドローン空撮が実現されるのか、不安なクライアント様」、「ドローンの初心者」を想定しています。

なお、電波法に関してはこちらの記事でも解説を行っております。

[“電波法“とは?]ドローン関連法をパイロットが解説 ~許可取得の方法まで~

 

電波とは?そもそもなんなのでしょうか?

電波とは、「周波数が300GHz ~ 3THzまでの電磁波」のことを指します。。物体を中心に波紋のように広がっていく性質を持っている。 またここでは電波の3つの特徴を覚えておくと実務に役立ちます。ドローンを飛ばす際に、何が障害になりうるのかは知っておいたほうが良いですね。

  • 木やガラスのように電気を通しにくい性質のものは通り抜ける
  • 金属のように電気を 通しやすい性質のものには反射する
  • また、山や建物など、障害物に当たると電波は曲がる

 

主要な2つの電波帯の特徴

<2.4GHz 帯>

  • 2.4GHz 帯は産業、科学、医療分野などの帯域としても広く使用されている。
  • マルチコプターの操縦に使用されている周波数帯も主に2.4GHz 帯である。
  • この周波数帯は無線LAN 等の各種の無線インターネットに使用されている。
  • 壁や床などの障害物に強く、電波が遠くまで届く性質がある。
  • Bluetooth ・Wi-Fi ・コードレス電話・電子レンジなど様々な製品に使用されている無線帯域のため電波干渉を受けることがあるので、厳重な注意が必要。
  • 混信による誤動作を防ぐ為にマルチコプターを飛行させる前に測定器などで電波の状態を予め確認する事が望ましい。

<5.7〜5.8GHz 帯>

日本において、一般的なFPVレーシングドローンでの映像転送に使用するのがこちらの電波帯になります。ホビー・レジャー用でこの電波帯を使用するのであれば、アマチュア無線免許4級以上を保有していることが法律で定められています。

5.8GHz帯の特徴としては、以下が挙げられます。

  • 2.4GHz帯と比較して障害物に弱く、また通信距離が長くなると電波が弱くなる特性があるが、 無線LANや電子レンジ等からの干渉を受けにくく、高速通信が可能で安定していることから映像 データの転送などに適している。
  • 海外ではマルチコプターのFPVの画像電送に利用されているが、日本では気象レーダーなどで用 いられている帯域と重複することから免許不要で利用できるのは屋内使用に制限されている。
    日本では2017年以降に電波帯の解放が予定されている。
  • 本周波帯の解放によって、最大で5kmほど離れた地点でもドローン操作が可能になる。
  • 第三陸特が今後必要になる

こちらの5.8GHz帯ですが、アメリカやヨーロッパ、中国などではほとんど合法でドローンの通信用として使用可能となっています。

ただし、日本では基本的には使用不可となっており、海外仕様のDJI Phantom4 ProやInspire2は2.4GHz帯と5.8GHz帯の両方を使っている一方で、日本仕様は2.4GHz帯だけを使えるように設定されています。

まとめ

上記の内容だけ読むと、5.7GHz 帯の使用が明らかに望ましいのですが、現状は5.7GHz 帯は開放されておらず、別途開局の手続きが必要になりますので、現実的ではないですね。
現状は2.4GHz 帯をいかに安全に運用するか、という観点に注力するほうが良いかと思われます。

続きは、実際にどういったシーンで電波障害が想定されるのか、電波障害が起こった場合の対処方法を解説していきます。

 
続編記事:ドローンが抱える電波障害のリスクと、障害発生時の対応を解説します

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