【ドローン空撮】ドローン空撮の料金設定 -適切な空撮価格の内訳とは?【徹底検討】

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こんな感じの内容です!

ドローン空撮を依頼する際の「適切な料金設定」はどのように決まるのでしょうか?近年は、技量・知識の曖昧な方が「副業として格安」で業務を請け負ったり、一方では昔ながらのラジコン空撮業者はその10倍の金額で撮影を請け負うという現状があります。本記事では、その内訳を細かに検証していきます。

目次

はじめに

ドローンスクール事業の盛況に伴い、ドローン空撮業者が近年急増しています。そうした背景から技量・知識の曖昧な方が「副業として格安」で業務を請け負ったり、一方では昔ながらのラジコン空撮業者はその10倍の金額で撮影を請け負うなど、適正金額が見えづらい状況は続いています。大まかに言ってしまえば、1日操縦士を借り切った場合、大まかに以下の金額帯に分類できました。

  1. 個人の方(業務経験なし?):「3,5万円〜5万円」
  2. 格安業者:「5-7万円」
  3. レベルの担保された空撮業者:10万円前後☆
  4. 昔ながらの空撮業者/大型機での空撮業者:30万円〜

1),2)の価格帯の方は、実績も少なく不安な印象を持ちました。
また4)は、10年前の機材を独自制作し、空撮業務を行える会社が数社しかなかった時代の金額帯がまだ継続しているという印象です。
基本的には3)以上の価格帯がプロとして「誠実なサービスを提供できる採算ライン」、という前提に基づいて、「適切な空撮料金の内訳」に迫ります。

1,静止画撮影料金または、映像撮影料金(人件費)

ベースとなる、ドローン操縦士の人件費です。通常の地上カメラマンの人件費が6万円程度であることを考慮すれば、8万~10万円程度が妥当と考えられます。

機材費用

次に機材費用です。ここは各社により異なると思いますが、弊社の場合は小型機(DJI製Phantomシリーズ)までは、機材費は頂戴していません。
*小型機は、1式揃えても30万円+α程度

ただ、中型機(Inspire1 RawやInspire2等)や大型機+1眼レフカメラ(Matrice600、Freely製Alta、Cinestar)は、設備として100万円以上はゆうにかかってしまいます。
よって、中型機以降の機体については一定以上の機材費がかかるのは妥当でしょう。
*1day/30万以上の業者の方は、大型機での運用がほとんどな印象はあります。

監視員/補助員の人件費(2017年5月6日追記)

現場での安全監視員・補助員の人件費です。必要ないでしょ、とクライアントから真っ先に削られがちな項目でもありますが、いくつか必要な訳があります。
まず安全上の理由としては、「ドローン操縦士のワンオペ」はかなり大変で、以下のケースは監視員がいないと本当に困ります。

  1. ドローンカメラの映像を確認しながら、ドローン機体本体も確認したい時
  2. 走りながらドローン飛行など、操縦+移動が入る時(アシスタント
  3. 車・人混みなど周りの人が操縦士の邪魔にならないように調整が必要な時

また、「国土交通省への許可申請時」に、安全監視員を2名以上置かなければいけないという飛行マニュアルの指導がありますので、「人口集中地区」などでは、法令上も監視員が必須です。
*裏技として、クライアントに本番前に”ドローンレクチャー”して、監視員役を担ってもらうこともありますが、操縦士側の立場からは、監視員を連れて行きたいところです。
補助員:25000円〜50000円

カメラオペレーター人件費

InspireX5R(GH4相当)、Inspire2、大型機などの場合は、カメラワークとドローン操縦を分けて2名体制で操縦を行うことができ、カメラ担当の人件費です。
必須かどうかでいうと、MUST(必ず)ではないが、NEED(可能ならいてほしい)といったところでしょうか。時間の限られた撮影でかつ難易度が高い場合、「2オペレーション」であれば、成功率もあがりますし、撮影全体のクオリティは間違いなく上げれます。
予算がある案件であれば、ぜひ同行を許してほしいです笑
カメラワーク:50000円〜

ロケハン

まずロケハンに行くのか、行かないのかという点から各社ごと/ケースごとに分かれます。TVロケの同行など限られた予算感の中での撮影の場合は、ロケハンを行うことはそもそも難しいでしょう。
一方、1発もののイベント(マラソン大会など)では、ロケハンはできる限り操縦士は行くべきです。
ロケハンの予算としては、映像制作の現場と同様に30000円~50000円程度が妥当だと思われます。

予備日

ドローン空撮の現場は天候との戦いでもあります。最も空撮に適した時間帯は、「早朝」、または「夕方」となることが多いですが、その時間帯に澄んだ空が必ず見られるというわけではありません。
例えば快晴のもとで、富士山を収めようと思うと10日ほど日程をずらしてても撮影するというケースも考えられます。一方、「上空から地上の絵がほしい」という場合は、天候は曇りでも問題はありません。
よっては、「最高の天候で、ドローン空撮を実現する」ということは実は、難易度の高いことであり、値の張ってしまう依頼になる可能性が高いです。

予備日は平均して1日あたり20000円〜35000円程度に収まっているケースが多いです。

撮影延長料金

ロケ現場に同行する際に、よくある話で、「午前中のみ」の案件が「1日中」に伸びてしまったケースを想定しています。
その場合は、半日分の料金にプラスして30000円の延長料金を頂戴して、1日プランに合わせるという調整をしている会社が多いです。

キャンセル料金

弊社の場合は以下のようなキャンセル料金設定を行っています。

キャンセル料金は空撮日の20日前に請求金額30%、10日前に50%、それ以降には100%の料金を頂戴します。

特に空撮はシーズンに沿った依頼が多く、「桜シーズン」、「紅葉シーズン」などには案件が集中しがちなものですので、“キャンセル問題“が空撮業者の死活問題になるため、キャンセル料金については厳格に設定している会社が多いようです。

*といっても、クライアント様の状況に応じて、「日程の仮押さえ」という相談はよく受けますし、弊社でも実際はキャンセル料金を請求したケースは一度もありません。

国土交通省への許可申請料金

実は厳密に言うと、空撮業者が「国土交通省への許可申請」に対して、費用・料金を請求することは違法になる可能性があります。
国への申請に費用を請求するには行政書士の資格が必要ですから、その点に違反する可能性があるそうです。
業界慣習上、費用請求が当然になっていましたが、「実績ある空撮企業」は国交省から「全国包括許可」を取得することが多くなったため、そうした慣習自体がなくなっているようです。

平均の許可申請料金は50000円前後が相場のようです。

関係各所との調整費用

ドローンは「道路交通法」、「土地の所有権」の問題から、地上の法律問題を調整する必要があります。
そこで特に課題となるのが「ドローン発着地の所有者問題」です。
例えば渋谷の街並みを撮影したいという際には、「ドローンの発着地」がまず課題になります。そうした土地所有者との調整を、ドローン空撮業者が担う場合は、一定の料金が発生することが多いです。

交通費

例えば、東京の操縦士が鹿児島に行っていては過度に「交通費」がかかってしまいます。
弊社の場合は、日本全国に6つの拠点をもっているため、そうした課題をクリアしており、離島以外、交通費5000円以内での撮影を実施しています。

編集費

ドローン操縦士が編集までを行うことは多くありませんが、パノラマ撮影、VR撮影の場合は、撮影した会社が編集まで担当することが多いようです。
ドローンはあくまで、視点を変えた「映像手法の一つ」ですから、ドローン空撮のみでPR映像を完成させるというのは、あまり良い選択ではなく、編集までを操縦士に、一貫させて依頼することはおすすめしません。

まとめ

ドローン空撮を依頼する時に、安物買いをしてしまっては、大変なリスクを発注者側が負うことになりえます。一方で納品物に対して高すぎる請求をわざわざ支払う必要はありません。本記事が、ドローン空撮業界の金額適正化の一助になれば嬉しいですね。

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