テラドローンに聞く。 ドローン測量の実際と課題

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こんな感じの内容です!

ドローンでの測量の需要にいち早く注目し、国内のみならず世界のマーケットを視野に事業を展開するテラドローン株式会社の土木事業、日本統括・竹崎孝二氏にインタビューをおこなった。

目次

土木工事の現場では、人手不足が深刻だ。労働人口の減少や高齢化、新規着工の増加などに加え、経済成長期に作られたインフラの老朽化対応も急激に増加することが予想されている。

国土交通省はICT(Information and Communication Technology)を用いて工事を効率化するi-Constructionを提唱し、人材の不足を補うとともに、人件費抑制を目指している。i-Constructionでは、土木・測量におけるドローン活用にも期待を寄せる。

実際のところ、ドローン測量は普及しているのか。従来の測量と比べてどのような利点と課題があるのか。

ドローンでのUAV測量(無人航空機測量)の需要にいち早く注目し、国内のみならず世界のマーケットを視野に事業を展開するテラドローン株式会社。

同社の土木事業において、日本統括を務める竹崎孝二氏に聞いた。

世界で戦える産業用ドローンサービスを目指して

Terra Droneの成り立ちを教えてください。

竹崎:弊社が誕生する以前、2010年にTerra Motorsが設立されました。電動三輪車の製造販売を手がける会社で、おもに東南アジアで市民の足として使われるトゥクトゥク(三輪車)などの動力源を、従来のガソリンから電気に置き換えることを目指しました。現時点ではインド、ネパール、バングラデシュ、ベトナムで年間3万台ほどを売り上げています。

その後、グループの第二の事業として2016年にTerra Droneを創業。ドローン測量の実績がある山形の株式会社リカノスと提携して立ち上げました。

土木測量・点検サービス、解析ソフトウェア開発、管制システム開発の3つの柱で事業を展開しています。

すでに全国各地で多くの測量実績があるとのことですが、ドローン測量が特に活発な地域はありますか。

ご依頼は関東と九州が多い状況です。地方は山や崖など安全にデータを取るのが難しい場所が多く、ドローンの価値が出る場所。必然的にニーズも多くなっています。

1年前までは東京、福岡の2拠点でしたが、地方での需要の高まりに対応する必要が出てきました。事業開始から1年ほどの短期間で、北海道、山形、仙台、愛知、兵庫、広島を加えた8拠点に急拡大しています。

ドローン測量の価値をもう少し詳しく教えてください。

ドローンを活用するメリットは、高精緻なデータとスピードです。

従来は点の情報で、測った箇所以外の座標がわからない。地形の細かな変化を見つけるのも難しいことでした。

対してドローンによる写真測量では、得られる情報が従来の測量とは根本的に違います。映像を重ねることで同時に大量の情報を得られ、変化もわかりやすい。そして、段違いに高密度なのが特徴で、点から面での管理が可能となりました。

また、現場を止めないでスピーディーに計測できることができます。土木工事の場合、規模によりますが従来の1/5程度の時間で測量でき、大規模になるほどドローンのメリットが出ます。少なくとも1ヘクタール以上の広さになれば、ドローンで測量するメリットがあると考えています。

レーザー測量で写真測量の限界を克服

ドローン測量では、写真を撮影する以外にレーザーを使う方法があります。どのような特徴があり、どのように写真測量と使い分けているのでしょうか。

予算と目的によって使い分けますが、レーザーが活躍するのは、植生下や足場が悪く立ち入り困難な場所。具体的には断崖絶壁、森や山、災害復旧現場が挙げられます。

このような場所は従来の測量が困難であったり、写真では捉えられない死角が多いこと、大規模現場の地形測量をスピーディーに実施することが求められるのが特徴です。

レーザー測量の課題はリスクが高いことです。そもそも起伏が激しく難易度が高い現場において、できるだけ近づくことでより精緻なデータを取得したいところですが、近づきすぎるとオペレーターが高低差などの変化に対応する場面が多くなり、事故のリスクが増えます。

依然として設備投資が高額であり減価償却や保険料等の維持費も高額です。また、植生の密集状況や地形にあわせて飛行経路やレーザーを照射する角度を調整する知識・経験や高度な解析技術力も求められます。そのためリスク管理や技術管理が難しいものになります。

レーザーは測量だけでなく点検にも有効です。例えば、山林における送電線がありますが、木が成長して接触しないように、定期的に伐採する必要があります。

木々が生い茂って近づくのが容易ではない山の上を、レーザーを使うことで位置情報も含んだ3次元データを取得し、送電線と樹木の距離を調査することが可能です。

送電線の上を飛行した場合、機体トラブルなどで送電線に接触するリスクが高まるため、側面からレーザーをあてる設計が必要です。また送電線等による電波干渉の危険性があるため、干渉・障害の状況や飛行への影響を調査しながらの慎重なフライトが求められます。

日本発のドローン測量専用ソフトウェア Terra Mapper

独自のソフトウェア「Terra Mapper」をリリースしました。測量データは解析しないと使えないわけですが、これまで多く使われてきた海外製品との違いは何でしょうか。

Terra Mapperはドローン専用の画像処理ソフトです。既に100社以上で導入され、特にシンプルな機能と簡易な操作性において好評をいただいています。

従来の海外製品を使った場合とは、ワークフローが大きく異なります。従来はデータの処理、解析、出力・共有の各ステップで別のソフトウェアを使用し、うまく組み合わせる必要がありました。つまり一貫して測量に対応した専用ソフトウェアが存在していなかったのです。

Terra Mapperはドローン測量に特化しているため、フローごとにソフトウェアを使い分けることなく一貫して処理が行え、操作もシンプルに行えるのが特徴です。

そして日本語表示かつ日本語サポートに対応しているため、日本のユーザーにとっては安心感があるのではないでしょうか。

また、Terra Droneはソフトウェア専業の会社ではなく、自社でドローンの運用もしていますので、売って終わるのではなく、測量精度を高めるためのアドバイスを行うことも可能です。

自社でもドローン測量を行っているからこその経験が生かされた機能はありますか。

Terra Mapper(デスクトップ版)は、推奨スペックを満たしたノートPCでも処理できる設計になっています。

ドローン測量は、結果を確認できるようになるまで待ち時間が長く、現場から本社に戻って解析してみたらデータが取得できていないことが分かって再計測になることもあります。

現場で取得した画像を取り込んでおいて、帰り道の数時間で処理が終わっていれば嬉しいな、という自分たち自身が現場で感じたニーズを解決した設計なんです。

使用するノートPCは、CPUがCore i7であれば動作するように設計しているので、ワークステーション(業務用高性能機)のような高価なものは必要なく、ハードウェアの初期費用を低く抑えることが可能です。

それからソフトウェアの価格も、従来使われてきた主要製品の組み合わせと比べて1/4程度で導入できる優位性があります。

従来は現場で処理できなかった、と。

そうですね、ノートPCで動かすのは難しかった。なぜなら現場で使うのではなく、オフィスで解析専門の担当者にデータを渡して処理することを想定しているからです。

ドローン測量のデータは小さくないですから、現場からオフィスに送信できたとしても、それだけで数時間かかってしまいます。Terra Mapperならば、移動時間に処理をかけて有効に活用できますし、現場に常駐するような場合でも現場事務所で結果を出すことが可能なのです。

日本のドローン測量は世界トップクラス

ドローン測量の海外事情を教えてください。

Terra Droneの海外拠点を見てみると、ドローンが使われるシーンは地域によって特徴が異なります。

海外には鉱山やガス田など、日本にはない大規模なニーズがあります。一方で、土木現場におけるドローン活用は、日本が世界トップクラスではないでしょうか。政府がICTやドローンに日本ほど注力している国はほとんどなく、日本で培ったやり方、ノウハウは世界で通用します。

既に、ペルーでナスカの地上絵を3D取得したり、韓国、インドネシア、豪州での3次元測量の実績も出てきておりますが、いずれも日本でのノウハウを活かして実施しています。

日本に輸入できるシステムの検討を行ったり、逆に日本で有効な手法を輸出したり、実験しながら相互に高め合うことができると思います。

今後さらにサービスを作り込んで、グローバル展開を加速したいですね。

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