[ドローン法解説] 空港周辺でも申請不要の空域とは?制限図面の中身を徹底図解【ドローン規制】

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こんな感じの内容です!

空港周辺はドローンの飛行が禁止されており、飛行させる場合には空港の許可が必要です。しかし、空港周辺全域が飛行禁止というわけではなく、高度によっては許可なしで飛行できる空域もあります。本記事では、その空域について解説していきます。

目次

【改正航空法】空港の周辺でも申請の必要のない空域とは

2015年12月10日より改正航空法が施行されました。同法では、既存の航空法に無人飛行機(ドローンなど)に関する条文が追加され、以前まで曖昧だった無人飛行機の飛行禁止空域が明確に定められています。

改正航空法により定められた飛行禁止空域

1.空港等の周辺(進入表面等)の上空の空域
2.150m以上の高さの空域
3.人口密集地区の上空

 

しかし『飛行禁止空域』ではありますが、上記3つの空域は、国土交通大臣に飛行プランなどを申請し、安全性が認められ許可を受けた場合、飛行可能です。

さらに言うと、実は3つの禁止区域でも、『①空港等の周辺上空の空域』の中には申請なしで飛行可能な空域が含まれています。

空港から半径何千mの空域すべてが飛行禁止、というわけではないのです。
この当たりの改正航空法の少しわかりづらい部分、『空港等の周辺上空の飛行禁止空域』に焦点を当て、今回は詳しくご説明していきます。

空港等の周辺上空の空域

まず抑えておきたいのは、禁止区域『①空港等の周辺上空の空域』が具体的にどんな空域であるかです。
実際の規則、第二百三十六条では以下のように定められています。

進入表面、転移表面もしくは水平表面又は法第五十六条第一項の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空空域

 

いくつか登場する『◯◯表面』というのは総称して、『制限表面』と呼ばれています。

 

『制限表面』は、航空機が安全に離着陸することを目的として、空港周辺の一定の空間を障害物が無い状態にするため設定される面です。

つまり、無人航空機はこの設定された面の高さより低い高さで飛ばさなければなりません。

参考資料

参考資料①:制限表面概略図(成田国際空港ホームページより)▼

参考資料②:平面概略図(成田国際空港ホームページより)▼

参考資料③:断面概略図(成田国際空港ホームページより)▼

制限表面のポイント

ポイントは2点です。

  • 空港から距離半径4000mの範囲では、水平表面の範囲内である高さ45mまで飛行可能。
  • 距離半径4000mを越えた円錐表面内では、前述の高さ45mに加えて、距離×1/50の高さも飛行可能になる。(着陸帯延長上は除く)

この図を見ても何だかややこしいので、実例を参考にしながら更に理解を深めていきましょう。

実例:鹿児島空港周辺

今回は鹿児島空港周辺を例にします。

地理院地図の検索欄に鹿児島空港と入力し、「情報追加/ベースマップ切り替え」から「他機関の情報」の空港等の周辺空域を追加すると上のような画面が表示されます。

内側の紫色部分が水平表面(実際の地理院地図上では緑色)、緑色の円の部分が円錐表面、外側にあるCのような形の部分が外側水平表面です。

 

これからドローンを飛ばそうとしている場所を仮にA地点だとします。(赤い矢印部分辺り)

 

 

ズームして見てみましょう。
鹿児島空港から半径4000m広がる水平表面、鹿児島空港からA地点までの距離は5000mです。

では鹿児島空港の制限表面内である、A地点ではドローンを具体的に何m飛ばすことができるのか見ていきます。
鹿児島空港と天空の森2地点の高さをわかりやすく表示するため、上記画面を縦で見た断面図が下の図になります。

 

断面図で見てみる

まず前提として、お伝えしなければならないのは鹿児島空港の標高が275mなのに対し、A地点の標高が225mだという点です。空港の高さより低い高度で航空機が飛ぶことはありません。
そのため、鹿児島空港とA地点の標高差50mは飛行可能区域となります。

 

標高差の50mに加え、空港から距離4000m広がる、水平表面までの高さ45mも飛行可能空域となります。

 

さらに4000mからは円錐表面分として距離×1/50の高さが飛行可能になります。

A地点は鹿児島空港まで5000m離れているので、水平表面分距離4000mを引いて残った距離1000mは円錐表面範囲内となります。

 

つまり、1000m×1/50=20m、天空の森の円錐表面分の高さ20mも飛行可能空域です。
これら標高差50mと水平表面分の高さ45m、円錐表面分の高さ20mを足した(50+45+20=115)
115mが鹿児島空港の制限表面内であるA地点での飛行可能な高さ、ということになります。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回は少しわかりづらい『空港等の周辺上空の飛行禁止空域』を、実例を交えて紹介してみました。
例に挙げた鹿児島空港は比較的標高が高い位置にあるので、今回のように空港周辺でも飛行可能なエリアが多くなりますが、逆に海抜高度が低い空港周辺では距離は離れていても高度が高いところは円錐表面の制限がある可能性があるので注意が必要です。

これからもドローンの進化とともに制度やルールは変化し続けると思います。ドローンを飛行させる際は常に最新のルールをチェックし、ルールを守って飛行させましょう。

 

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