【ドローン空撮】プロが使用する “安全確認チェックリスト” 大公開!飛行直前〜飛行後確認まで<後編>
2017年4月20日 木曜日 更新
こんな感じの内容です!
ドローンでの事故報告が毎月のように報告される中、DJIインストラクターが中心として作成しているDroneAgentの安全運用マニュアルについて迫ります。 DroneAgentの「安全確認チェックリスト」を公開していく本記事の、「飛行直前〜飛行後編」です。
目次
DroneAgentは、ドローン空撮に特化した撮影チームで、TV/CM・PR撮影・360°VR空撮・静止画撮影に対応し、日本全国に事業所を展開しています。そうしたDroneAgentの操縦士たちはどういった「撮影ノウハウ」を持ち、どういった「安全対策」を施しているのでしょうか?ドローンでの事故報告が毎月のように報告される中、DJIインストラクターが中心として作成しているDroneAgentの安全運用マニュアルについて迫ります。参照:[2017年度最新版]ドローン関連事件・違反の19事例をまとめ、その原因とは?
飛行直前のチェック
周辺環境
- 天気、風速等に問題はないか(GPVなどで雲の動きの確認 http://weather-gpv.info/)
→GPVだけが雲の動き(雨雲ではない)までをみれるので重宝する。 - 電線や樹木など安全飛行に影響を及ぼす建造物はないか
→ある場合は距離を保ち運転する。低い高度で様子をみながら飛行する(極力場所の移動を検討) - 周囲に高圧電線や鉄塔などの電波干渉の可能性がある場所ではないか
→電波干渉すると、GPSが正常に作動しなくなる。万一の場合に備え、電波障害発生時のドローン挙動の設定を状況に応じて確定させる。 - 周囲に鉄板などのコンパスエラーが生じる可能性はないか
→鉄筋ビル屋上や船舶上は特に注意する代表例。また軽井沢といった、地域全体がゼロ磁場とされるエリアもあるので、事前の調べも必要。
*軽井沢の一部は、方位磁石も効かない。ドローンを飛ばすべきでないエリアもあった。 - 第三者が30m以内の近くにいないか
→第三者とは、パイロット、安全運行管理者、関係者以外の人のことを指す。
機体
- 高度、距離の制限、ホームポイント、フェールセーフの高度を適正に設定しているか
→Gohome(自動帰還モード)の設定高度が周囲の建造物よりも高いことを確認。 - 機体のキャリブレーションを行っているか
→機体のキャリブレーションをすることで、コンパスが正常に作動する。ただし傾いた場所では絶対にキャリブレーションを行わない。 - プロペラやパーツが緩みなく設置されているか
- モーターに異音はないか
→異音を感じたら、すぐに飛行を中止する。また砂地などでは、ドローン飛行後の清掃も都度実施する。 - バッテリーの充電は十分か、または膨張がないか
→ バッテリーが膨らんでいたら、使えない。なおDJIの場合、インテリジェントバッテリーと呼ばれ、10日以上使用しないと膨らみなどを防ぐため、65%まで放電する。
*大型機などのリチウムバッテリーは例外。またインテリジェントバッテリーでもバッテリー妊娠(膨らみ)現象が発生することもあるので注意する。 - バッテリー温度は適切か?
→ホバリングなどで、温度が適切になるまで待機する。なおエリア・時期によっては事前にバッテリーヒーターを使用する。 - 周辺の電波状況は支障ないか?
→イベント会場などでは特に注意が必要。 - プロポのモードは適切か
→他操縦士から操縦を交代直後は特に注意する。
その他
- 操縦者の健康管理
→操縦は自分が思っている以上に集中するため、想定よりも疲労が溜まっていることが多い。
そのため、少しでも身体に異常を感じた時は直ちに休憩を申し出る。 - 画像や動画の出力形式やレンズ調整、画質はきちんと設定しているか
→ 先方に要望がない限り、FullHDの30pでの撮影を提案する(4K60Pでの要望も最近は増えてきたが、結局のところFullHDに落とすことが多い。)。
→4kで撮影すると800万画素の静止画で出力できる旨も伝える。
飛行テスト
- 機体、プロペラから異音はないか
- LEDが正常に機能しているか
- GPSが正常に受診し、各種センサーは正常に機能しているか
- 積載重量に無理はないか
→積載重量を超えると、挙動に異常が出る(IMUエラーが多い)。万一、積載重量を超えていることが飛行中にわかった場合は、ドローンのすぐ降下させる一方、以上挙動に対処する備えをする。 - 基本操作(スロットル、エレベーター、エルロン、ラダー)が正常に行えるか
飛行中確認
- 飛行エリアに第三者が近づいていないか
- 機体が建造物に近づいていないか
- 突風、雨など気象状態に変化はないか
→霧雨でも中止をする。経験上、霧雨でも1-2分程度であれば飛び続けるが、危険性が高いことをクライアントに説明する。 - バッテリーの残量は十分に帰還できる状態か(距離にもよるが、30%台になると帰還準備を進める)
→距離を元に帰還する時間を計算し、飛行する。 - 他の航空機が近づいていないか
飛行後確認
- 機体や付属品に損傷はないか
- 機器から発熱はしていないか
- プロペラや他のパーツに歪みはないか
- バッテリーに膨張はないか、また65%程度まで減らしているか
- クライアントの依頼内容によって、動画や写真の画素数や画質を確認
→対象物、周辺環境、使用用途によって変わるので、確認必要。
4Kであれば800画素の静止画として切り抜き可。 - 納品方法
→SDカードを渡すか、後ほどデータを送るか、これらを編集するかどうかを事前にすり合わせておく。
まとめ
いかがでしたでしょうか?クライアントの方も空撮会社を見極める基準として、ぜひご活用いただければと思います。また毎月のように事故が起きている昨今ここまで述べてきた対策は、あくまで必要最低限のことだと思っています。
ドローン業界全体の安全な運用管理体制の確立への一助として、本チェックリストが役立てれば嬉しい限りです。