[“イベント上空飛行“とは?]ドローン航空法をパイロットが解説 ~許可取得の方法まで~
こんな感じの内容です!
平成27年12月10日に航空法が改正され、ようやくドローン(無人航空機)が法律において、どのようなものを指し、どのようなルールの基に飛行させるのかが制定されました。内容について見ていきます。
目次
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記念にイベントを空撮らしく上空から撮影したい!!
改正航空法により定められた「許可・承認が必要な六つの飛行の方法」四つ目は「イベント上空飛行」です。
航空法では「祭礼、縁日など多数の人が集まる催し場所の上空で飛行させないこと」となっています。改正航空法の基本は、イベントなどに関わらず人の上を飛ばさないと言う考えのもとに成り立っています。ましてや、イベントの様に多人数が集まる場所の上空は飛行禁止なのです。
人口密集地上空と同じです。兎にも角にも人や物に危険が及ばない様に飛ばしなさい!です。
私どもにもイベント上空の撮影は、かなりの数の依頼がきます。先日は、1万人を超える様なイベントの撮影にも携わりました。
ドローン空撮が一般化してきた事、イベントの規模感や雰囲気を一望で伝えられる事、飛行機やヘリよりも手軽な事などの理由で、事例はドンドン広がってきております。東京オリンピックなども見据えて、スポーツ中継にも積極的に活用されてきています。
しかし、規模に比例してリスクも大きくなるのがイベント上空飛行です。そして、規模に応じて関係各所との調整も大変さが急上昇です。
イベントって、どんなものを指すの?
正直言って、イベント上空飛行の申請を難しくしているのが、この部分です。イベントの規模や内容に明確な規定がないのです。
条文の「催し」と言う言葉、そして国交相のホームページに掲載されている挿絵。そのどちらを見ても数十人レベルが基準になっています。
挿絵に至っては、地方の盆踊り大会のレベルです。このレベルでイベントと認識されるのであれば、大半の人が集まるものは全て飛行禁止です。
無論、人の上を飛ばす事自体が危険な行為ですので、人数の問題ではないのですが、なかなか悩ましい解釈です。
実際に、地方の桜祭りを撮影して検挙されている事例も発生しています。
国交相のホームページに公開されている資料『国交相_無人航空機(ドローン、ラジコン等)の飛行に関するQ&A』には、
「どのような場合が「多数の者の集合する」に該当するかについては、催し場所上空に おいて無人航空機が落下することにより地上等の人に危害を及ぼすことを防止すると いう趣旨に照らし、集合する者の人数や規模だけでなく、特定の場所や日時に開催されるものかどうかによって総合的に判断されます。」と書かれており、こちらが判断する事では無いと解釈すべきです。
関係各所との調整って何をするの?
まず第一にイベント主催者との調整です。主催者との意思の疎通なしにイベント上空飛行の許可はおりません。主催者からの撮影依頼であれば話は早いですが、別の関係者から話が来る場合も多々あります。その場合も必ず主催者に話が通っている事を確認し、イベントの中身や規模・場所・見取り図など様々な情報の共有を行い、イベントの概要を正しく理解します。
次に管轄の警察や自治体との調整です。
地域のマラソン大会のようなイベントであれば、どうしても道路上を飛行させる事になります。そのために飛行ルートや操縦場所、離着陸地点も含めて警察との調整は必須になります。また開催される自治体との調整も必要な場合があります。各所からの要望や注意をしっかり汲み取って飛行プランを作成します。花火大会のようなイベントであれば、消防や高度の関係で空港事務局との調整も発生します。
実際に自治体主催の花火大会の事例では、
1)主催者から詳細な情報(日時・規模・花火の種類・打ち上げ場所・観覧場所・駐車場との位置関係・人の動線・消防車両の配置・周囲の状況・過去の状況)を取得。
2)情報・状況に応じて最大限にリスクを回避した飛行プランを作成。
3)飛行プランを元に警察・消防・空港事務局とそれぞれ調整。
4)国交相への許可・承認の申請。
国交相への申請の前に、各所との調整を済ませ、その状況も含めて申請しました。
場合によっては、幾つかのうちの一つからNGが出る事もあります。その場合は依頼主も同席の上で丁寧な交渉を行いましょう。
効果的なリスクの回避って、どうするの?
本末転倒ですが、まずはドローンを使う必要があるのか?と言う部分から考える必要があります。都市部のイベントであれば、近隣のビルの屋上などから撮影出来る事も多々あります。
そして、その次に大きなリスク回避方法は、人の上を極力飛行しないプランを考える事です。マラソンのスタート時や先頭集団を撮影するような場合でも、人の上ではなく、人の前を飛ばして撮影する事でリスクを低減させる事は可能です。また道路と平行に流れる河川などがあれば、河川上空を上手く利用する事で人との接近を避けられます。飛行場所は、機体を見失わない見通しのいいところにする。接近の可能性が高い場所には、目視人や監視員を配置する。と言うような徹底した対策を行います。
まとめ!
主催者・関係各所との調整を行い入念な飛行プランを作成する事で、イベント上空の許可・承認を得る事は可能。
ありとあらゆるリスクを想定し、回避の方策を練る。