こんな感じの内容です!
ドローン空撮が上手い人と下手な人の違いは、『構図』にあります。カメラのコツを少し覚えるだけで、初心者でも空撮写真や動画がグッと上手くなります。今回は、ドローンで撮影する際の、三分割法、放射線構図、二分割構図、日の丸構図、対角構図、S字構図、真俯瞰といった構図について解説していきます。
目次
こんにちは、ドローンカメラマンの臼井です。本記事は、「ドローン初心者でも、カッコイイ/綺麗な空撮写真を撮りたい」という人たちに向けて執筆しています。
最近ではプロだけでなく、アマチュアの方でもドローン空撮を楽しむ方も増え、youtubeなどでも多くの空撮動画を見る機会が増えました。しかし引き込まれるような素晴らしい映像もあれば、見ていて2秒で閉じてしまうような映像もあります。その差は一体どこから生まれるのでしょうか?
そこで今回は、スチールフォトグラファーの観点からドローン映像の構図に関してレポートしていきます。初心者でも『構図』に関するコツをちょっと覚えるだけで、すぐにある程度まで空撮動画を作るのが上手くなれます。また、「ドローンの動画撮影を中心に活動されている方」も、動画は静止画の連続で映像として成立しているため、写真への理解を深めることで動画のスキルアップに繋がるはずです。
ドローン空撮における構図の重要性について
さてドローンの空撮ですが、今まで見てきた中で上手い人と下手な人の差を考えてみると、ざっくり以下が列挙されるかなと思います。
- 撮影している対象物
- 空撮におけるストーリー・世界観の有無
- 構図
- カメラ設定の問題
しかしながら、結局上手い人と下手な人の一番の違いは、『構図』にあると思っています。
同じ景色の映像・写真を撮影していても、上手い人の写真・映像は一目で分かります。それは通常のスチール(写真)撮影だけでなく、ドローン空撮においてももちろん同様です。
ということは、写真でもドローン空撮でも、まずは『構図』をしっかりと学ぶことが何より上達のために重要と言えます。
写真の構図にはしっかりと『基本のルール』がありますから、まずはそれを覚えてしまいましょう。
構図の原則を意識した写真の例
ドローンをとりあえず飛ばしてみたはいいものの、なんとなく空を徘徊していませんか?
まずは「同じ場所・同じ高度」で撮られた以下の3枚の写真をご覧ください。どれが一番しっくりきますか?
①写真パターンA
カメラの角度がデフォルトのまま、水平垂直に写ります。
初心者の空撮動画にありがちで、上記の写真では何を写したいのかはっきりしません。
*雲が綺麗な造形ならもう少し印象に残ったかもしれませんが、今回の曇り模様では空にここまで割合を割く必要はありません。
②写真パターンB
↑今度はカメラはかなり下を向いています。
雲と地平線が映らず奥行きがありません。
③写真パターンC
地平線と空を少し画面に入れてみました。
もし当日がm空の青さや雲の形が綺麗ならばもう少し空を入れてもいいかもしれませんが、この条件下だと、最も安定感のある写真になりました
撮影時のポイント
カメラの角度
ドローン空撮の構図では、『どのラインに地平線を置くか』という天と地の比率が重要な要素となります。3枚の写真の違いはカメラの角度だけですが、それだけで空撮写真の印象が全く変わってしまいます。
1枚目は空の空いた部分に文字を入れるならば、この構図もありですし、2枚目も自動車レースや屋外ライブの上空写真ならありかもしれません。写真には、絶対的な正解は存在しないと思います。
大切なことは、
映像を撮る際、被写体だけに集中してしまうと全体の構図を把握できず結果、大きく印象が変わってしまうということです。
DJI製ドローンで、構図を確認する方法
まずはDJIGOアプリにて設定の確認です。
DJI GOアプリの『カメラ設定』→『その他設定』にて「グリッド」を表示するようにしましょう。
モニターに縦横の2本線がでました。この線を意識することで構図が取りやすくなります。水平垂直の確認にも役立ちます。
設定にはさらに対角線を追加できます。お好みで使い分けてください。
ドローン空撮の初心者が知るべき9つ構図
構図にはいくつもの種類がありますが、まずは以下の9つの構図を覚えておけば、ドローン空撮をする際にも、目の前の風景を前にまごつく事なく自然と撮りたいイメージが湧いてくるはずです。
三分割法
最も代表的な構図が三分割です。GOアプリのグリッド配置はこの構図が取りやすいようになっています。
縦横線の交差した部分(交点)に主体となる被写体を置きます。
ここでは夕日が交点に重なっています。
それだけで安定した構図となります。
動画ではこの構図を起点に太陽を位置をずらすだけで雰囲気のある写真になります。
放射線構図
放射線が混じり合う交点から奥行きと広がりを連動させます。
動画ではここから上昇しながら引きの映像を撮ると開放的な映像につながります。
二分割構図
シンプルで静寂なイメージですがうまく条件が揃わないと失敗する構図です。
ここでは雲に形がありましたが、白く飛んでいたら素抜けた印象になります。
水面に映る夕日や鏡富士などシンメトリー構図にもなります。
日の丸構図
写真の解説書などでは、よくない構図の代名詞的なイメージですが、
ドローン空撮においては、メインの被写体と周囲の状況が伝えやすい構図です。
動画ではこの構図を起点に螺旋状に回ったり上昇したり、何にでも応用が利き無難な構図です。
対角構図
橋や線路のような直進性のある被写体向け。
必ずしも正確な対角線である必要はないと思います。角度によって躍動感が生まれます。
合わせ構図(三角構図+シンメトリー構図+サンドウィッチ構図)
構図を合わせることもできます。
三角構図は木や山など背の高い被写体で生まれ
造形的な面白さがあります。
シンメトリーとは左右対称の構図のことです。
安定感がありますが、
少しでも角度がずれるとバランスを崩すのでドローン撮影では技術が要ります。
サンドウィッチとは両サイドに
前ボケ気味のオブジェがあるとその中心に視線が誘導される構図です。
動画ではこの構図から前進するだけでインパクトのある映像が撮れます。
S字構図
もともと人物モデルのポージングの構図で曲線構図とも言われます。
ドローン空撮では奥行きとリズム感のある構図となります。
真俯瞰
ドローンならではの構図です。
高度を変えるだけで同じ被写体でも印象が変わります。
インパクトが強いのでアイデア次第では
フォトコンテストでもおなじみの面白い構図です。
まとめ
その他にも構図の種類はありますが、まずは基本的な9つの構図を覚えることから始めてみて、それから色々な構図も試してみてくださいね。そして、普段から構図付けのイメージトレーニングをしておくと、現場でフライトプランが立てやすく迷わなくて済むはずです!
ドローン空撮は今までが黎明期なので、今までは空から撮影した映像・写真があれば満足という方も多かったかもしれません。しかしドローンは普及期には入り、ようやく「映像・写真の質」が求められるようになってきました。
本記事がきっかけで、魅力的なドローン空撮写真・映像がもっと増えたらいいなと思っています!
次回は、ND・PLフィルターのお話です。お楽しみに!
なお、本記事のような写真は、4K60FPS対応の、最もメジャーな空撮ドローンPhantom4 Proでも撮影可能です。空撮に本格的に取り組まれる方は特におすすめです。