【ドローン空撮用】PL/NDフィルターの使い方を徹底検証

臼井寿成
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臼井寿成

こんな感じの内容です!

ドローン空撮をする際に「PLフィルター」と「NDフィルター」の使い方を理解していますか?どんな環境下でも理想的な映像・写真を撮影するためにも、マニュアルモードでの「PLフィルター」と「NDフィルター」の使い方をマスターしましょう!

目次

ドローン空撮時の「PLフィルター」と「NDフィルター」の違いを理解していますか?

オートモートでも撮影できてしまうため、正確な知識を持っていない方も多いかもしれません。

しかし、知識が不足していると「場所・時間帯・太陽の方向」などの環境要因に左右されやすいドローン空撮は、失敗してしまう可能性が高まります。

どんな環境下でも理想的な映像・写真を撮影するためにも、マニュアルモードでの「PLフィルター」と「NDフィルター」の使い方をマスターしましょう!

PLフィルターとNDフィルターの違い

PLフィルターは「ポラライズド・ライト・フィルター(Polarized Light Filter)」の略語。

NDフィルターは「ニュートラル・デンシティー・フィルター(Neutral Density Filter)」の略語。

それぞれの特徴は大きく分けると次のとおりです。

  • PLフィルター⇒反射を除去&色彩コントラスト調整できる
  • NDフィルター⇒色味を変えずに写真の光量を調整できる

PLフィルターの使い方について

PLフィルターは二重構造になっており、回転させることで効果を調整させることができます。

「PGY社のC-PLフィルター」は多少厚みがありますが、フィルターの枠が映像の四隅に映る現象である「ケラレ」がなく安心して撮影に使えます。ただ、一眼レフ用フィルター反射率最大の目印となる「三角形の印」がないので、事前に効果最大点にマジックなどで印をつけると良いでしょう。

上記の写真を例にすると、A点が一番光の反射を抑える地点であるなら、左右に(B点orD点)前枠を回すことで反射率が抑えられ、C点に回すと再度反射率が高まっていきます。

地上撮影の場合はファインダーを覗きながら回すだけですが、ドローン空撮の場合は、カメラ自体が上空にありファインダーを覗くことができません。そのため、飛行前に「カメラ角度・高度・太陽の位置」を想定した調整が必要です。

事前調整は、ドローンカメラの前にガラス板などを置くことで、偏光のアタリを探ることはできます。しかし慣れるまでの経験が必要なため、しばらくはA点にポイントをおき、映像を確認しつつ調整をおこなうテストフライトが大切になります。

光の反射率を変えるPLフィルター

PLフィルターで撮影した写真の違いは、水面に写る光の反射率の違いにあらわれます。今回は、PGY社のC-PLフィルターを使用しました。

1枚目。こちらが効果を最大にしたもの。水面に光の反射がまったらあらわれていません。

こちらが次の2枚目の写真と1枚目の写真の中間です。

最後が、効果が最小のものです。水面の反射率の高さが歴然としています。

PLフィルターの効果的なアングルとは

水辺の反射率を取り、透き通った映像を取りたい場合はカメラを30度の角度から撮るのが最も効果的です。

静止画の場合、被写体となる水面が平面で固定のためこのままでOKですが、動画の場合は、ドローンの高度やアングル位置が変われば目の前の風景の反射率も変わっていくので注意が必要です。PLの効果は太陽に対して90度の角度が最も強くなります。

光の方向性を偏光するのがPLフィルターですので影のでない曇りの日や逆光時、真俯瞰では効果はないといわれています。ドローンのレンズは、広角域が主流ですので画角が広い分、水平線を絡めた海辺での撮影など、引きの映像ほどPLの効果がでる部分とでない部分が出てきます。

光量を下げるNDフィルター

NDフィルターは、色味を変えずに光量を下げることができます。

ドローン空撮では、天気の良い日はレンズに入る光も多くなり、1枚目の写真のような露出オーバーになりがちです。適切なカメラ設定を実現するために、NDフィルターが重要になるケースがあるのです。

このようにNDフィルターは、色味を変えずに、映像・写真を暗くするサングラスのような効果を与えることができるフィルターです。

シャッタースピード、絞り、ISO感度を適切に設定すると2枚目のような適正露出の写真を撮影することができるのですが、カメラ初心者には難しいといえるでしょう。

ここからは、撮影時に基準とすべき数値を検証し、なぜその設定を撮影するべきかを見ていきましょう。

絞りの変化と画像解像度テスト 

Phantom4Proの最短撮影距離は1mです。

この検証では1,2mほどの距離に新聞紙をおきマニュアル撮影をしました。赤枠部分の写真中央部を拡大し、各絞りの解像度を調べてみました。

一番大きな漢字の「便利」が1,5cm、小さい文字が3mmほどです。

レンズにとっては非常に厳しい撮影環境ですが、絞り開放となるf2.8からほとんどの文字は判別することができます。

f4から解像度は向上し、f5,6付近をピークとしながらf11で解像力が低下しています。これは絞りすぎることで発生する「回析現象」で、どのレンズでも起こる現象です。

ドローン空撮では光量を抑えたいシーンが多い為f11になりがちですが、NDフィルターを使って遮光し回析現象を回避しましょう。

ISO感度の変化によるノイズ変化について

同じ場所でISO感度のノイズ変化を検証しました。(※ドローン禁止エリアにつき脚立の上に置いて撮影)

空の青い部分を見るとISO800あたりから急速に画質が荒れているのが分かります。

一般的な撮影では100か200あたりでおこない、400あたりが許容範囲かと思われます。適正な露出でこの結果ですので露出がずれるとさらに画質は荒れることになります。

シャッタースピードの変化について

次は、シャッタースピードをみていきましょう。

写真を見るとシャッタースピードの変化で、水飛沫が変化しているのがわかります。

4K60pで動画を撮る場合、1/1000などで撮ってしまうととカクカクした動画になってしまうため、基本のシャッタースピードは1/60で撮る事がベストです。

滝など動きのあるものは、60pで1/200くらいまでは自然に撮影できますし、あえて4K30pの1/30で緩やかに撮っても表現の幅が広がります。

写真分野ではシャッタースピードが上がればその分ブレを防止できるため歓迎すべきところですが、ND32や64フィルターなどを使うことでスローシャッター効果を演出することが可能になります。

こちらの写真は、Phamtom4 proで、ISO100、絞りf10、露光1秒でND32フィルター使用を使用し撮影したものです。

滝は糸のように変化しつつも、岩場の質感はブレずにしっかりと表現できています。無風状態でのPhantom4proのジンバルは脅威的です。

以上、様々な実験の結果、Phamtom4 proの最適な撮影設定は次のとおりです。

  • ISO→100から200
  • 絞り→f5.6からf8 
  • シャッタースピード→4K60P(動画の場合1/60から1/120)

MAVICの場合

  • ISO→100から200
  • 絞り→固定
  • シャッタースピード→4K30Pなら1/30から1/60

普段、オートモード任せの方でも、この数値にカメラが近ければ失敗せずに済みます。

NDフィルターはND8か16

筆者がPhantomを使うときに常用するフィルターはND8か16です。

MAVICは絞りがないため、複数枚をセットで購入した方が良いでしょう。ドローン空撮ではNDフィルターは必須となりますので、なるべく早く購入されることを強くおすすめします。

付け替えが面倒と思う人には、高価ですが、可変式のフィルターもあります。

「シャッター速度×フィルター番号」で装着時の大まかなシャッタースピードがわかりますので計算してみましょう。

絞り数

1絞り

2絞り

3絞り

4絞り

5絞り

6絞り

NDフィルター無し

ND2

ND4

ND8

ND16

ND32

ND64

1/1000

1/500

1/250

1/125

1/60

1/30

1/15

PLフィルターとNDフィルターの使い分け

PLフィルター(PGY社のC-PLフィルターを使用)とNDフィルターの違いを、実際に撮影した3枚の写真を比較でご覧ください。

1枚目。PLフィルターを使用しました。ほぼ光の反射を抑えることができました。水底の石がクリアに写っており、木々の緑も色合いが良くなっています。

2枚目。PLを使用しましたが、反射を抑えるアタリになっていません。

3枚目。NDフィルターを使用しました。2枚目と、ほぼ同じ反射率で、木々の緑も少し濁っている印象を受けます。

このようにPL使用時は、前枠を調整して反射をコントロールできないと、PL本来の良さが出ないことがわかります。

NDフィルターのように遮光性はあるのですが、今回使用したPGY社のPLはND2程度で常用フィルターとしては効果が弱いです。

何も意識せず、PLを常用フィルターとして使うのは注意が必要です。

ND/PLフィルター

上記のように、PGY社のPLフィルターは遮光性があまり無いため日中は使いつらいかもしれません。そんな時は、PLフィルターに遮光性を高めた「ND/PLフィルター」を使うと便利です。

写真には、各フィルターによって空の濃度、紅葉の彩度、水面の反射具合の変化があらわれています。紅葉や空の色を引き出そうとすると、水面の反射が消されるため、使用する際は事前にイメージすることが必要です。

Polapro社はビビットコレクション(ND4/PL ND8/PL ND16/PL)の3枚組で13000円前後、NEEWER社も(ND4/PL ND8/PL ND16/PL)があります。こちらは2000円前後で安価に購入できます。

しかし、私が購入したものは3枚ともフィルターネジ枠がうまくフィットしないハズレ品でした。効果自体は両社とも同じような印象ですが、購入を検討される方は、返品対応がしっかりしたお店で購入してください。

フィルターのメンテナンス

フィルターのメンテナンスも大変重要ですので覚えておきましょう。

まずはカメラから外し、ブロアー(100均で売ってます)でゴミを払ってからレンズクリーナーをつけた布で軽く払うようにしてください。

写真のように、外側からフィルターを強く押し込むように擦ると純正のUVフィルターなどはポコっと外れてしまいます。

私が普段一眼レフで使用しているNDフィルターです。コーティングが剥がれているのがおわかりでしょうか。乾いた布でゴシゴシこすったことが原因です。NDフィルターの内側はデリケートなのでむやみに触らない方がいいでしょう。

レンズフードは自己責任で

レンズフードは物理的にレンズを損傷から守る意味もあり、重要な機材です。

しかし、風が吹くたびにジンバルコケするなど故障の原因にもなりかねません。

効果にも疑問が残るため安全の観点からも付けていません。

Phantomは逆光が苦手なため、順光にそって撮影した方が良いでしょう。

さいごに

いかかでしたでしょうか?

ぜひ「PLフィルター」と「NDフィルター」の違いと使い分けをマスターし、理想の空撮をしてください!

 

Phantom 4 Pro/Adv – ND4フィルター

Mavic – NDフィルターセット(ND4/8/16)

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