[“目視外飛行“とは?]ドローン航空法をパイロットが解説 ~許可取得の方法まで~

岩本守弘
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岩本守弘

こんな感じの内容です!

平成27年12月10日に航空法が改正され、ようやくドローン(無人航空機)が法律において、どのようなものを指し、どのようなルールの基に飛行させるのかが制定されました。内容について見ていきます。

目次

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見えないところを見せてくれるのが、空撮の醍醐味!?

改正航空法により定められた「許可・承認が必要な六つの飛行の方法」二つ目は「目視外飛行」です。

航空法の基本は「目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周辺を
常時監視して飛行させること」です。目視とは飛行させる者が自分の目で見る事で、双眼鏡を使ったり、他者に監視してもらうことではありません。業務では目視人と言う形で監視してくれる人を立てることも多々ありますが、基本は操縦者自身が機体とその周りを見て状況を把握することが最も大切なのです。
ビルや木々の向こうのように機体が見えなくなる場所に飛行させる事は、操縦者の目視の範囲を超えますので、目視外飛行となり許可・承認が必要です。

機体が見えてればいいの?


見落としがちな部分が目視の方法です。
先ほどの説明の様に、他者の監視は目視外になりますが、操縦者が見ていても目視外になる監視の仕方があります。
条文内では操縦者が肉眼でと書かれています。メガネ・コンタクトレンズ・サングラスはOK。双眼鏡・望遠鏡・オペラグラス・モニター監視など直接機体を見ていない方法は目視外の扱いになります。大切なポイントは直接見ていると言う部分です。ですので飛行の最中、どのような映像が撮れているかをずっとモニターで見ていることは目視外です。ここは、案外見落としがちな部分ではないでしょうか?
そして、見えていればいいいのか?と言うと単純にそうとも言えません。
例えば、「日差しが強い夏の海で飛行中、機体はなんとなく見えているが、旋回をしたら進行方向を見失った。」と言う様なケースは機体状況を把握しているとは言えませんので、目視外の扱いを受ける可能性が高いです。
また、ずっと機体を目で追っていると機体の認識・把握は難しくありません。しかし、モニターなどを見るために一瞬目線を機体から外してしまうと、その後に視線を戻しても空や雲に紛れて機体が見つからない!と言う事象は、操縦者あるあると言っていいと思います。
そんな時にバッテリ低下のアラートが鳴り出したら…..フライト経験が少ないとパニックになりかねません。

Phantomなどの機体は、その構造から容易に前後左右を見失ってしまいます。しっかりとした機体の状況把握が重要です。
実際に夏・海岸・晴天の状況であれば、300m程度から機体の前後左右は分かりづらくなります。しっかり自分の操縦と機体のを頭の中でリンクさせて下さい。
ちなみに、車の免許で眼鏡やコンタクトレンズが必要な方は、ドローンの操縦でも同様に必要です。

双眼鏡やモニターを使った方がしっかり見えますよね?

まず双眼鏡ですが、コントローラーを持った状態での使用が困難と言う部分があります。モニター映像は機体が撮影している映像であって、機体を見ている訳ではありません。
そして、その他のオペラグラスや望遠鏡などにも共通して言えることが、条文の「機体とその周辺」と言う要件を満たしていないと言うことです。
危険物や鳥などとの接近、低空での飛行では車や人の思いがけない飛び出しなど、飛行中には危ないことが多々あります。それが双眼鏡などでは、切り取られた一部分しか見えていないので、危険の予知や回避に不適合だと判断されているのです。
飛行に集中すると案外周りが見えていない事もあります。より一層の注意が必要です。

目視人なんて必要?

目視外の許可・承認を取得したからと言って、その飛行が安全になる訳ではありません。それを補ってくれる人が目視人です。我々の仕事の現場では多い時には3〜4人の監視人を配置する事は稀ではありません。目視外の申請においても、国交相の担当者から目視人の配置が条件化されます。操縦者は見えていなくても、必ず機体状況を把握出来る人を置きなさいと言うことです。
例えばビルの点検で周囲を回す様な撮影では、どの方向に機体が移動しても見失わない場所に目視人を配置します。林の向こうの場合は、林の手前と向こう側にそれぞれ配置したりもします。目視人とはトランシーバーなどで繋ぎ、常に最新の状況が把握できる様にします。しかし大切な事は、そもそも見えない場所が極力少なくなる様に飛行プランを作ることです。
見えないところにドローンを飛ばすと言う行為自体が危険でしかないと言う認識を忘れないで下さい。目視人は、小さな現場でも常にいて欲しい重要なパートナーです。

と言う事で、見えないところを見せてくれる事が空撮の醍醐味ですが
そこには細心の注意と準備が必要です。

まとめ!

目視の基本は、操縦者が機体と周囲の状況を把握することです。
目視外への飛行は危険行為、目視人を配置しましょう。

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