ドローン(UAV)を用いた測量が普及した背景とは? i-Constructionを徹底解説!

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こんな感じの内容です!

ドローンの世界では、i-Constructionという単語とともに、UAV(ドローン)を用いた測量が普及しました。しかし、一体なぜi-Constructionはここまで浸透しているのでしょうか?建築業界の問題と、今後の目標、それにドローンがどのように貢献しているのかを解説します。

目次

 ドローンの世界では、建築業界・土木業界を中心に、「i-Construction」という単語を耳にすることが増えてきました。それと同時に、UAV(ドローン)を用いた測量がどんどん普及しており、各社がi-Constructionへの対応に追われている状況です。

しかしながら、、一体i-Constructionとは誰が始めたもので、なぜここまで浸透しているのでしょうか?
建設業界以外の方は、その事情や全体像がなかなか分かりづらいというのが現状です。

本記事では、i-Constructionの定義から、建築業界の問題、その解決のための目標、そしてそれにドローンがどのように貢献しているのかを、政府が公表している文章を基に解説していきます。

i-Constructionとは?

i-Construction(アイ・コンストラクション)は、国土交通省が2015年11月に概要を発表し、建設土木業界に大きなインパクトを与えた施策になります。
 
i-Constructionとは、建設業における新基準で、ICT(Information and Communication Technology)の活用を前提として生産性の向上を目指したものです。。ICTとITはほぼ同義ですが、ICTでは「人と人」「人とモノ」の情報伝達といった「コミュニケーション」がより強調され、情報・知識の共有に焦点が当てられています。その中で、ドローンの活用が特に期待されています。
 
i-Constructionは現在では略して「アイコン」とも呼ばれ、土木や測量の従事者にとっては、よく耳にする言葉となっています。特筆すべき点は、これらが努力目標ではなく、実際に指標と期限と指標が設定されており、民間業者に義務として適用する姿勢だということです。国土交通省が特に重要視している施策であることが伺えます。

建築業界が抱える課題

これまで、従来の建設現場はアナログな世界でした。紙の図面を広げながら、職人さんに指示を出したり、修正された図面をみんなで見ながら打ち合せをしています。一方で、日本の製造業は、効率化を求めてデジタル化・自動化をどんどん進めていきました。建築業のIT化への消極的な姿勢は、建設・土木関係の事業者の生産性の低さを招きました。
 
建設現場で働く職人さんの仕事は、まだまだ難易度が高く、腕が必要な領域が数多くあります。しかし、建設業界の生産性の低さは利益率の悪化を招き、建設現場で働く人の賃金水準は、製造業などに比べると低い傾向になってしまいました。そして、賃金が低いことから、業界での働き手の不足という問題が新たに発生しました。
 
i-constructionには、合理化を進めて経営環境を改善することで、賃金水準を上げようという狙いがあります。自動化やICTなどによる管理・運営を導入し、最終的に生産性を5割向上させる目標を立てています。また、建設業者は、職人さんの頭の中や腕をデジタルに置き換えて誰にでも扱える形式知にすることで、人手を確保したいという願いもあります 

 

新しい3Kの実現

現在、国土交通省はi-constructionを推進することで、これまでの建設業界の3K「きつい」「危険」「きたない」を、ポジティブな新3Kへ変えようとしています。
 
新3Kは「給与が良い」「休暇が取れる」「希望が持てる」です。
しかし、これは裏返せば、現状ではこれらが満たされていないことを表しています。
 
そのために、まず旧来の3Kを改善しなければなりません。特に問題となる3Kは「危険」です。
建設業での死傷事故は全産業と比べて2倍とかなり危険な状況です。この危険を改善するためには、自動建機の活用が欠かせません。ドローンや自動で動く重機を活用し、危険な作業を代替もしくはサポートすることで、死亡事故ゼロを目指しています。自動建機は肉体労働からの脱却にもつながるため、女性の活躍や人材確保も期待されています。
 
また、事故に関しては、測量中も起きるものです。例えば工事が始まる前に、山中に測量機器を持って調査するような場合、滑落や骨折の事故が珍しくありません。今後ドローンを使うことで、なるべく人が入って行かなくてもよくなることが期待されますし、それが主流になっていくと思われます。

 

i-Constructionが掲げる8つの目標

国土交通省は「i-Constructionの目指すべきもの」として次の通り挙げています。

目標1:生産性の向上
ICTの全面的な活用により、将来的には生産性は約2倍。施工時期の平準化等による効果とあわせ、生産性は5割向上。

目標2:より創造的な業務への転換
ICT化による効率化等により、技能労働者等は創造的な業務や多様なニーズに対応

目標3:賃金水準の向上
賃金水準の向上 ・生産性向上や仕事量の安定等により、企業の経営環境が改善し、賃金水準向上と安定的 な仕事量確保が実現

 目標4:十分な休暇の取得
十分な休暇の取得 ・建設工事の効率化、施工時期の平準化等により、安定した休暇取得が可能

目標5:安全性の向上
安全性の向上 ・重機周りの作業や高所作業の減少等により、安全性向上が実現

目標6:多様な人材の活用
女性や高齢者等の活躍できる社会の実現

目標7:地方創生への貢献
地域の建設産業の生産性向上により多くの魅力ある建設現場を実現し、地域の活力を取 り戻す

目標8:希望がもてる新たな建設現場の実現
希望がもてる新たな建設現場の実現 ・「給与、休暇、希望」を実現する新たな建設現場
 
※補足
(目標(9)広報戦略 が国交省資料では記載されています)
建設現場や建設現場の仕事が魅力的になること、i-Constructionの導入効果について、周知が必要
 
参照:国土交通省 i-Construction〜建設現場の生産性革命〜 より
[http://www.mlit.go.jp/common/001137123.pdf] p37 

 

i-Constructionで実施する3つの取り組み


i-Constructionで行う取り組みは、大きく3つあります。

1.ICT技術の全面的な活用

 UAV(ドローン)などから取得した測量データを3次元化し、それを3D CADで保管。測量後に、調査・測量、設計・施工、検査といった建築精算プロセスでデータ活用を行っていきます。この部分に関しましては次項にて詳細に解説します。

2.規格の標準化

橋げたなどは、現場で鉄筋や型枠を組み、そこにコンクリートを流し込んで作ることが主流です。コンクリートが固まったら、型枠を外す作業もあります。
今後は工場で細かくパーツを生産し、それを組み立てることで効率化を図ろうという取り組みで、現在広がりつつあります。

3.施工時期の平準化

年度が始まる前から着手する、予算を複数年度にわけて使える仕組みを活用できるようにするとともに、ICT活用で効率化を図り、閑散期と繁忙期の偏りを解消。労働環境を改善していこうという取り組みです。
建設土木工事では、春夏は閑散期、秋冬に繁忙期を迎えます。その背景には役所の都合上、決まった予算を執行されるのは翌年度が始まった4月1日からになるという事情があります。早くから計画され予算が付いていたとしても、実際に着手できるのは4月からということです。そこから設計を始めて、夏を経て詳細を詰めていき、工事自体がスタートできるのは秋から冬にかけて。年末以降に工事をよく見かけるようになるのは、このためです。こうした閑散期と繁忙期の偏りを解消するための方針です。 

 

ドローン(UAV)の活用方針

国土交通省がICTの全面的な活用に向けて公表した「3次元データによる15の新基準」は、15個の基準それぞれでマニュアルの整備が進められています。工事に入る前段である「調査・測量・設計」で3つ、施工で6つ、検査で6つの基準を設定することで、数多くの目標を実現することを目指しています。
 
参照:i-Constructionで建設現場が変わります!新たに導入する15の基準及び積算基準について
http://www.mlit.go.jp/report/press/sogo15_hh_000150.html
 
 
この中のうち、UAV(ドローン)の活用そのものを扱う基準は3つあります。

 特に『施工』と『検査』での出来形管理では、ドローンを使った測量のほうが、従来の方法よりも正確なデータを取得できます。これらのマニュアルは公表されているので、目を通して理解しておくことをお勧めします。

段階①『調査・測量』『設計・施工計画』

調査・測量・設計に使うデータを取得するため、UAV測量を行います。従来は2次元のデータをもとに施工土量を算出する必要がありました。どれだけ土を削る、盛るといった設計です。UAVで測量した3次元データがあれば、自動的に施工量を算出することができます。
 
詳細文章: UAVを用いた公共測量マニュアル(案)
国土地理院の掲載サイト→ [http://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/uav/index.html]

段階②『施工』

データをもとにICT建機(パワーショベルなど)を自動や半自動で制御することができますし、そこまで実現できなくても操縦士をサポートすることができるようになります。ドローンは施工中にどれだけ進捗が上がっているかを把握するために、UAV測量を行います。
 
通常、工事は数ヶ月以上にわたって行われますが、施工業者への支払いは、全部が完成していなくても行われます。一定期間でできた分だけ支払われる仕組みになっているため、進捗を正確に計測することは非常に重要です。また工事の進捗を現場が把握するためにも大事な管理です。
 
詳細文章:空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)
国土交通省のPDF→[http://www.mlit.go.jp/common/001179704.pdf]  

段階③『検査』

施工が設計どおりに行われたかを検査するために、UAV測量を行います。
 
従来はトータルステーションなどを使って測量し、それを2次元の平面図や設計図など紙の書面に起こして工事を進めていました。さらに、施工後には、測量によって出来た膨大な書類をもとに、設計どおりに仕上がっているか検査が行われてきました。
 
現在i-Constructionに定められている、UAV測量をもとに作成したデータは3次元データです。そのため、施工後にまたUAVで測量したデータを重ねて比較するといったことが出来ます。これによって、位置や傾き、不足部分などを、紙をいちいち突き合わせなくても一度を確認できます。書類の資料をもとに検査するよりも精密なうえ、検査項目も減らすことができるのです。
 
 
詳細文章:空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)(案)
国土交通省のPDF→ [http://www.mlit.go.jp/common/001179702.pdf]
(ただし、現時点では検査基準・精度などが定められておらず、今後の活用が期待されます。)
 
補足事項:
国土交通省の試算によると、2km程度の河川堤防工事では、検査日数を5分の1に短縮、検査書類を50分の1に削減できるというデータが出ています。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/kiseikaikaku_dai1/siryou6.pdf

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
 
弊社でも、建築業界での測量を請け負う案件が非常に増えてきています。
 
しかしながら、なぜ建築業界の方々が口を揃えて「i-Construction基準」を口にするのか。建築業界に詳しい方は普通に常識として話しますが、普段から業界に馴染みの無い方ですと、その事情や全体像がなかなか分からないという問題を抱えていらっしゃる方を多数お見かけしました。
 
そこで、ドローンが建設業界に活用されるまでの背景をまとめた次第です。そして、そこには国を上げて建設・土木業界を良くしていこうという、官僚の方たちの熱くて壮大な構想がありました。現在、i-Constructionは2025年までのペースで計画が立てられており、魅力ある建設現場という新3Kの実現、そしてSociety 5.0といった壮大な構想に向けて動いています。
 
我々ドローンを専門に扱う会社としても、ぜひこの流れを推し進めていきたいと考えている次第です。
 
次回は、ドローンの測量が実際に民間でどれだけ普及しているのか、どうやって測量が行われるのかを解説していきます。お楽しみに。