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Phantomシリーズなどと同様に中型機体に分類されながらも、カメラの搭載が可能なことにより空撮の世界を塗り替えたInspire1。初代のInspireとしての性能がどういったものか、ドローンのプロの意見を交えつつ解説していきます。
この記事の目次
Phantomシリーズより大きく、プロ仕様とも言われるInspireシリーズ。Inspire1は発売当初革命的な機体で、ドローン業界の空撮の質を一気に押し上げてくれた機体と言えます。今回はそんなInspireシリーズの初代、Inspire1について実際に使用していたパイロットからのレビューをお届けします。
長所
- 1眼レフカメラが搭載可能:
Panasonic製GH4相当のスペックを誇るX5、X5R等の一眼レフカメラを搭載しての撮影が可能。Phantomシリーズより高画質な映像が撮影可能です。 - Rawの映像が撮影可能:
Inspire発売以前は、Rawの映像を撮影したいというニーズに対して、大型機しか選択肢が無くコストがかさんでいました。しかし、Inspireの登場、そしてX5Rというカメラを取り付けることによってそのようなニーズに答えることが可能となりました。 - X5RはOsmoに搭載可能:
InspireとOsmoだけでも、シネマクラスの撮影が可能になりました。 - 強いパワー:
Phantomシリーズに比べて推進力が強いため、強い向かい風でもホームポイントに帰還するのが素早く安心できます。 - 価格が安い:
Inspire2で価格差ができましたが、1に関してはPhantomシリーズと価格がさほど変わりません。
短所
- 持ち運びが不便な大きさ:
Inspire1は中型機機種なので、空撮特化DJI製品の中では「重い」・「ケースが大きい」というサイズでマイナス面が大きいです。ケースは、「リュックタイプは大きすぎて恥ずかしい」し、「小さいケースは足が出てしまって恥ずかしい」という声が社内で挙がっていました。 - カメラの取り外しが面倒:
Inspire1専用カメラ「X3」は、Phantom4時代のGopro相当ですので、カメラ性能が高くないです。ただそうしたカメラも飛行後ケースにしまうためには、取り外しが必要ですので手間を感じます。*1眼レフ相当の「X5」なら、わざわざ外そうという気持ちにもなりますが、Gopro相当「X3」だと気持ちが萎えてしまう時もありました。 - カメラ性能が至高ではなくなった※2018年夏現在:
超小型機「Mavic」は、Inspire専用「X3」のカメラ性能と同様の性能です。Mavicはペットボトルサイズのドローンで十分仕事で納品できる映像が撮影できるというのは衝撃でした。
また、Phantom4 Proは、4K/60fpsで撮影ができます。Inspire X5Rにはさすがにかないませんが、X5R(つまりRaw映像が撮影できる)までの性能は必要ないが、X3より高性能な映像が欲しいというニーズを小型機「Phantomシリーズ」が満たしてしまいました。つまり、X3,X5それぞれのカメラで、より小型な最新ドローンに役割を奪われてしまったという印象です。 - ホバリングの不安定さ:
特にホバリングが新機種に比べると、すこし不安定です。Inspire1を飛ばした後に、「Mavic」、「Phantom4Pro」をホバリングさせると安定性の向上に驚くと思います。また、X3の使用時には、カメラが軽いために風に弱くブレが出やすいという欠陥があります。
- 大きいこと自体の短所:
重量・サイズともに大きいので、その分落ちた時の被害は大きくなる傾向にあります。価格感ほど、手軽な機体ではありません。
ちょっとした不具合
- ボタン設定:
C1ボタンを1度押すと、PhantomシリーズやMavicは真俯瞰や水平にカメラが向きますが、Inspire1はそうではないため少し不便に感じます。 - カメラ設定:
X3では旋回した時水平線が狂いやすく、ぐにゃ、としたかなり気持ち悪い絵になることがあります。これはDJI社がずっと修正できなかったInspire1の不具合でした。
まとめ
空撮カメラマンとしてのキャリアを振り返ると、Inspire1にはとてもお世話になりました。DroneAgentチームも初期はInspireばかり飛ばしていた記憶があります。発売当初は革命的な機体だったと思います。
ただ、そんな往年の名機も時代には逆らえません。Mavic、Phantom4 Pro、Inspire2といった最新機種を経験してしまった2018年の今では、上記のように短所も明確に浮かび上がってきました。逆にいうと、プロ用でもっともスタンダードだった、Inspire1のポジションを奪うような最新機種を着々とアップグレードして開発していくDJI社は本当にすごいなと思います。
Inspire1は、撮影プランが詳細に決まっていて、2パイロット(カメラマンと操縦士が分かれる手法)でX5・X5Rを搭載し、優れたオペレーションがなされれば、最高の空撮が保証されます。一方、趣味や気軽な空撮には向いていない完全プロモデルの空撮機体です。
*Inspire1は寿命に近い状態になっており、現在の主流はほぼInspire2に移った状況と言えます。
詳しくはこちらの記事を参照にしてください。