こんな感じの内容です!
DJI OSMO MOBILE2は"買い"なのでしょうか?スマホ用スタビライザーであるDJI OSMO MOBILE2はどう進化したのか?どれぐらい「安定感のある映像」を撮影できるのか?DJI OSMO MOBILEメリットを、実際に開封した写真や使用感の映像と共にお届けします。
この記事の目次
2018年3月、DJIはOSMOシリーズの最新作「OSMO MOBILE2」を発売します。
この製品は、簡単に言えばスマホで圧倒的に安定した映像の撮影が可能になります。
DJI発のOsmo Mobile2は特に一般の方向きで、家族や子供の撮影にと一家に一台ペース普及してもおかしくないポテンシャルを秘めています。
本記事では、このOsmo mobile2のスペックを解説した上で、開封〜実際の使用感までを徹底レビューしていきます。
そもそもOSMO MOBILEシリーズって?
「スマホカメラの手ブレ防止」という秀逸なコンセプト
今回、OSMO MOBILE2を発表したのは、ドローンのメーカーであるDJIです。
彼らはドローンで培ったジンバルの技術に強みがあります。具体的にはジンバルの技術ですが、それをスマホ撮影に最大限に活かしたのがOSMOシリーズです。
今や、誰もがスマホのカメラが使っています。ミラーレスの一レフや、GoProのようなアクションカメラを持っているのは、(最近は高校生の間でGoProが流行ってるなどはあれど)まだまだ少数派です。今でも大多数の人は、スマホのカメラで動画の撮影を行っています。
加えて、スマホのカメラ性能は右肩上がりに上昇を続けています。最新のiphone Xは、4K/60fpsの動画撮影が可能です。従来であれば20万円するカメラでやっと撮れた映像を、誰もが気軽にスマホで撮影できる時代となりました。
あとは、より本格的な撮影が出来る機材さえあれば・・・!と考える所に、このOSMO MOBILEシリーズが登場です。
打倒『ハンディカム』?
今回のOsmo Mobile2がそのポジションを奪いにきているのは、「ハンディカム」であるとも言えます。一般の方には「ビデオカメラ」という呼ばれ親しまれる製品です。
例として、一昔前の話します。
多くのご家庭では、子供の成長の動画を残すために、家族に一台(例えばパナソニックやソニー製の)ハンディカムを買って、SDカードに大事に保存していたのではないでしょうか。
しかし現代のスマホは、十分昔のハンディカムより優れた画質の映像が撮影できるようになりました。そんな中で、ハンディカムは、まだまだスマホでの撮影が『手元が不安定』であったり『動くものを撮影するには不安』という点で生き残っていたと言えます。
しかし、今回スマホにスタビライザーを取り付けることで、ハンディカムのメリットであった「安定して撮れる」という優位性がかなり薄くなりました。
これがOSMO MOBILEシリーズが与えた大きなインパクトだと言えるでしょう。
というのも、OSMO MOBILEを買うだけで以下のようなシチュエーションで本格的な撮影が出来ます。
- ちょっとしたバースデーの映像作成
- 一夏に一回の音楽フェス
- お子さんの運動会の動画
- 旅行先の思い出に残すための動画
- 登山やランニングなどアクティビティーの風景
これらはまさに、ハンディカムが得意としていた領域です。しかし、OSMO MOBILEはこれらを難なくスマホで撮影してしまいます。
OSMO MOBILEさえ持っていれば、ハンディカムのようなゴチャゴチャしたバッテリーなどは不要です。また、スマホで撮影したデータは、「あとはクラウドにアップして保管すればOK」という時代です。
冒頭で『一家に一台ペースで普及してもおかしくないポテンシャルを秘めています』と申し上げた理由がここにあります。
「ハンディカム」「ビデオカメラ」は、実際に家庭に一台普及していました。それを大きく上回るだけのメリットがOSMO MOBILE2にはあり、ポテンシャルを感じる所以となっています。
OSMO MOBILE2と他のOSMOシリーズとの違いは?
『具体的にOSMO MOBILE2って何がすごいの?』というメリットをお伝えするために、従来のOSMOシリーズからOSMO MOBILE2が遂げた進化をお伝えします。
初期のOSMOシリーズ
こちらの「OSMO」は最初のジンバル内蔵カメラDJI OSMOシリーズとして2015年に登場しました。
「映像を安定させるジンバルに、カメラを搭載させる」という形は、ドローンの仕組みと似ています。そのブレを無くす技術だけを地上でも使えるようにしたのがOSMOです。
したがって、上記の画像のように、初期のOSMOはあくまで「カメラにスマートフォンを装着する」というコンセプトで進化しました。それにスマホを取り付けることで、カメラで撮影している映像をスマホに表示・確認・保存するという仕組みです。
そのOSMOシリーズの続編、OSMO+では、ZenmuseX3というDJI製の高性能カメラが搭載されました。
- 高画質撮影(4K)
- 1080p・100fpsでのスローモーション機能
- 光学3.5倍ズーム、最大7倍ズーム
- ロスレスのデジタル2倍ズーム
- 22mm~77mmの焦点距離に対応
- 開口はF2.8(広角)からF5.2(望遠)まで対応
カメラにも強みがあるDJIは、この時点で、これだけの製品を登場させ、映像制作の界隈でのかなりの普及を果たしました。カメラ内蔵の手ブレ補正は、ジンバルのように機械的な手ブレ補正には及びません。
ジンバルとカメラ一体となり、片手でのオペレーションが可能になったこと、同じDJIのカメラであるX5を搭載することによる拡張性の高さで、映像表現の幅が格段に広がりました。
しかし、大きな問題は、当時の価格が7万円前後したという点でした。「一般層への普及」という観点で言えば、まだまだOSMOシリーズは価格・機能両面での課題が残されていました。
旧Osmo Mobile
そのタイミングで、OSMOシリーズは大きな方向転換を行いました。
その理由が、近年の圧倒的なスマートフォンの映像の進化でした。
例えば、先ほども申し上げましたが、iPhone7からスマートフォンでも4Kの映像を撮影することが可能になりました。誰もが『あえてカメラを購入する必要性とは?』をタイミングで、Osmo Mobileは「スマホの手ブレ防止」というコンセプトを打ち出しました。
OsmoMobileは、撮影を行う際にカメラ性能がスマートフォン側に依存するので、映像はOSMOのZenmuseX3のレベルから見劣りするかもしれません。
その代わり、球体のカメラの部分が無くなってジンバルのみになったので、価格が22,900円(税別)と圧倒的なコストダウンを実現しました。
Osmo Mobile2はどこが進化したのか?
ここまでは、OSMOシリーズがドローンのジンバルから始まり、スマホ用スタビライザーに行き着くまでを解説してきました。
それでは、前作OSMO MOBILEから今回のOSMO MOBILE2へ進化した点を、バッテリーの性能向上・使い勝手の向上と価格面から解説していきます。
バッテリーの性能が圧倒的に向上
OSMO MOBILE2 |
OSMO MOBILE
|
|
バッテリータイプ | 18650リポバッテリー |
リポバッテリー
|
放電容量 | 2600 mAh | 980 mAh |
連続稼働時間 | 15時間 | 4.5時間 |
充電時間 | 2時間 | 3時間 |
バッテリー交換 | 交換不可 | 交換式 |
上記はバッテリー性能の比較表です。
まず、バッテリータイプの変化により、電力の容量が大幅に増加しました。このAh(ミリアンペアパワー)という単位は、バッテリーに蓄えられる電気の容量を表しており、OSMO MOBILE2(2600mAh)は、OSMO MOBILE(980mAh)の3倍以上の電力を持つことが分かります。
これは、連続稼働時間にも大きく貢献しています。Osmo Mobile 2では、バッテリー駆動時間が、前作の4.5時間→今作では最大15時間と、3倍近く飛躍的に向上しました。加えて、OsmoMobile2ではバッテリー内蔵型になりました。
さらに、OSMO MOBILE2では、充電に要する時間が約2時間と、従来より1時間ほど短くなっています。
旧Osmo Mobileはバッテリーの取り替えが可能で、何本か常備して持ち歩くことが出来ました。これは「予備バッテリーが使えなくて不便」と捉えることも出来ます。しかし、改めて両者のバッテリー性能を比較してみましょう。
- Osmo Mobile: 3時間充電で4.5時間使用可能(バッテリー1本当たり)
- Osmo Mobile2: 2時間充電で15時間使用可能
OSMO MOBILEでは、バッテリー一本につき約3時間の充電が必要でした。これでは、3本バッテリーを常備する場合、充電だけで9時間を要します。
一方、OSMO MOBILE2は1回の充電で15時間の連続使用が可能です。『一回の充電でのバッテリーの持ち時間』という単位で考えると、Osmo Mobile2は圧倒的に充電効率が良くなったことが分かります。
特に旅行先での充電回数の大幅な削減に期待です。
スマホを充電しながらの撮影が可能に
ここまで最長15時間の撮影が可能という点を説明しましたが、「そんなに長時間の動画撮影を行う機会は少ない」と考える方はいらっしゃるでしょう。
このメリットに加えて、Osmo Mobile2では、スマホのバッテリーを充電しながらの撮影が可能になりました。
基本的にスマホは普段から常に使用しており、バッテリーが減少しているものです。特に旅行中などは、地図を見たり、電車の時刻表を見たり、お店を調べたりとフル稼働しているでしょう。そこに加えて動画も撮影…となるとバッテリーの限界はすぐに訪れます。「写真を撮ろうとしたらバッテリーが落ちた」という経験は誰しもあると思います。
ここで、スマホの充電が可能なOSMO MOBILE2の登場です。
動画撮影中はバッテリーの減りも早いので、普段から常用するケータイを動画撮影に使うハードルが下げてくれます。もともと15時間もの長時間駆動が可能であれば、スマホを充電しながらでもOSMO側のバッテリーは十分持ちますし、スマホを充電しながらの長時間ライブ配信なども問題なく可能になります。
これは単純にスマホで撮影する際の「手ブレ補正」機能に加わる、大きなメリットです。
価格
OSMO MOBILE2は、実は価格面での進化が最も大きな点と言えるかもしれません。
OSMO MOBILEの価格は22,900円(税別)だったのですが、なんと、OSMO MOBILE2は価格が15,500円(税別)となっています。機能追加された新型なのに、値下がりです。これは珍しいケースだと思います。
これは、スマホで動画撮影を行う、カメラにさほどこだわりの無い人でも手が届く価格設定を狙ったと言えます。2万円を越えると購入のハードルは一気に上がりますが、16,000円程度であれば、何かしらの動画を撮影をする機会のある人は、とりあえず買って損は無いと思える値段です。
初期のOSMOに始まり、OSMOシリーズは続編を重ねるごとに値下がりへ努力を重ねてきました。今回、やっと誰でも簡単に手が届くお値段になったことで、一家に一台普及してもおかしくないだけのポテンシャルが存分に発揮されることになります。
OSMO MOBILEシリーズの機能をおさらい
こちらのEngadget日本版youtubeチャンネルの動画では、非常に分かりやすくOSMO MOBILEシリーズの良さを解説しています。
- 画面をタッチしなくても、カメラに関する操作を手元のボタンで可能
- DJI GOを起動することでスタビライザーとして機能し、手の動きに合わせて安定した撮影を可能に
- スマートフォンの向きを固定したクレーンショット
- 照準を合わせた被写体をカメラが自動的に追いかけてくれるアクティブトラックモード
- 設定したポイントからポイントまでを動きながら撮影してくれるモーション・タイムラプス
このように、OSMO MOBILEは手ブレを補正して撮影するだけの製品ではありません。
パン・チルトの動きなどの補正機能と、カメラの動きの自動制御を合わせることで、撮影の幅をグッと広げてくれるツールとなっています。
通常では出来ない撮影方法は、スマホで動画を撮影する機会がある人にとって色々と試したくなる奥深さを秘めています。
特に、初期のOSMOシリーズから搭載されているタイムラプス機能は非常に秀逸です。時間の流れを自在に早回ししたり通常にしたりと、メリハリのある映像を撮れます。
機能面での追加:ポートレートモードを追加され、縦撮影が可能に
撮影に使うスマートフォンの向きを、ランドスケープ(横向き)とポートレート(縦向き)で切り替えられるようになりました。
今までののOSMOシリーズだと、ポートレートモードを起動するためには腕を横に倒すことでスマホの向きを縦にセットし、縦画面の撮影を行うことが可能でした。ただし、このような持ち方での撮影は、ハンドルを横向きで持つために、長時間の撮影だと腕が疲れてしまうこともありました。
今回はハンドルを普通に縦に持ち歩きながら縦・横のどちらも撮影が出来るようになったため、特にライブ配信などの長時間の縦動画撮影にに強くなりました。
開封
OSMO MOBILE2の箱が届きました。
早速開封を行っていきましょう。
出典:DJI Buying Guide Osmo Mobile 2: Unboxing and What’s New
こちらが開封を行った画像になります。
内容物はセット内容は本体、充電ケーブルのみとなっております。
DJIが公表しているチュートリアル動画
OSMO MOBILE2の使用準備方法
実際に開封した写真
実際に持ち上げてみると、全体として手にしっくりと馴染む印象を覚えました。
サイズ面で言えば、旧OSMO MOBILEからやや大きくなりました。バッテリー内蔵になったのが影響かと思われます。
ただし、重量はほとんど変わっておらず、今回は485gという軽量を保っています。手に負担がかかる感じも受けません。
専用のスタンドを付けると、このように机の上に立てることも出来ます。
後ほど映像をお見せしますが、パノラマ撮影を行う時などはこのスタンドを使用することも可能です。
OSMO MOBILE2の特徴として、親指にフィットする形で直接撮影する映像をコントロールすることが出来ます。また、電源ボタンはモードボタンの代わりにもなり、フォローモードとロックモードの切り替えを簡単に行うことが出来ます。
側面には、ズーム機能を使うことが出来るスライダーが付いています。
旧OSMO MOBILEのように、手を使って画面をタッチしてズームを行うのではなく、グリップを持つ手の指でスムーズにズームイン・ズームアウトが出来るようになりました。
なお、OSMO MOBILE2からは、バッテリーの交換が出来なくなりました。
そのため、この逆側にある、バッテリーを給電できるUSBポートからスマホに電源を供給することが可能です。
(注意:こちらは旧OSMO MOBILEの画像です。)
上がOSMO MOBILEの画像です。
あえて前作と比較して悪くなった点を述べるならば、「素材感ではやや劣る」という感想が出たことです。
OSMO MOBILE2は性能面で大幅にアップグレードしましたが、素材(ナイロン製)によって色味が変化しており、少々チープに感じるところはあります。ただし、これで価格がかなり抑えられていますので許容範囲です。
こちらのUSBポートにスマホのアダプタを差し込むことで、撮影しながらスマホの充電を行うことが出来るようになっています。
スマホが収められている部分を拡大して撮影しました。かなりガッチリとホールドされています。
ここまで様々な部位を見て来ましたが、ボタンの配置が変更されていたり、底面が三脚穴になるなど、使い勝手では前作から大幅にアップデートされています。旧OSMO MOBILEからの乗り換えを考えている方は、安っぽさを感じてしまう部分を感じながらも、機能・性能面で満足できる品に仕上がっているというのが総評です。
ここまで機体を見てきたところで、実際に使用した感想に入りたいと思います。
実際に使用してみる
OSMO MOBILE2は、他のDJIドローンも使用しているDJI GOというアプリで動作します。物体認識等、これまでのOSMOシリーズが出来ていたことは一通り取り揃えています。今回は、本体とスマホはBluetooth で接続する仕様となりました。
トリガーは廃止され、ズームは本体左横のスライドスイッチで独立し、また追従切り替えも前面部のボタンを使います。ジンバルの水平へのリセットや、自撮り可能な前面カメラへの切り替え、電源投入も、前面部ボタンで行います。
なお、当然ですがスマホの撮影性能で、映り方に差異があります。
なお、アプリに関してはDJI GO4は使用できないので注意が必要です。また、DJI GO無しでも動作しますが、タイムラプスや顔追従、本体のスイッチを仕様したズームや、録画機能など、アプリ無しだと使えない機能があるようです。
基本はDJI GOをダウンロードして使うようにしましょう。
実際に動いている例として、こちらはパノラマ撮影の風景の画像をご覧下さい。ジンバルが自動で動き、適切な間隔でパノラマを撮影してくれます。
今回はスタンドに立てた状態での撮影を行いましたが、手に持った状態静止してもこのように自動でパノラマの撮影を行ってくれます。
実際に撮れた写真はこのようになります。
スマートフォン単体のパノラマだと上下の手ブレが発生し、ガタついたパノラマになってしまうことが多いですが、こちらですとピタッとハマったパノラマ画像になります。
手のグリップ部分のスライダーを使用して、ズームアウトを行ったのがこの映像です。スマホ単体でズームアウトするよりも、滑らかなズームの操作が出来るのが分かります。
iPhoneのスローモーション機能を使用して、犬を撮影してみました。
もともとの手持ちによるブレに加えて、速く動く動物などを撮影すると、どうしてもガタガタとした映像になってしまいがちなところです。しかし、OSMO MOBILE2を使用することで、こういったピンポイントの瞬間を安定した形で映像に収めることが出来ます。
ただし、3軸ジンバルのため上下の揺れが完全には消えないことにはご注意ください。それでも、手持ちでの撮影に比べれば手ブレは激減します。正直言って気になりません。この価格であれば相当の性能を誇ると言って良いでしょう。
この動画の、3分のところから始まる東京/渋谷の風景は圧巻です。
最新のiPhoneXと、OSMO MOBILE2を組み合わせるだけで、プロ顔負けの映像が撮影出来てしまうことがよく分かる動画になっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、OSMO MOBILEのスペックや進化について触れた上で、バッテリー・価格面での向上の話、実際の開封から使用感までと幅広くレビューしてきました。
「一家に一台あってもおかしくない」と申し上げたように、素晴らしい性能を持ちながらもこのお値段、このお買い得感とを伝えるのが難しい・・・!スタビライザーというやや特殊なガジェットに感じる機材という性質上、中々注目されづらい歯痒さを払拭しようと熱を込めました。
今後ジワジワと普及していくであろうこのOSMO MOBILE2。今から本格的なスマホ動画の撮影にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。